研究者データベース

石黒 聡士イシグロ サトシ

所属部署名
職名
Last Updated :2019/08/19

研究者基本情報

基本情報

氏名

  • 氏名

    石黒 聡士
  • 氏名(カナ)

    イシグロ サトシ

所属

所属・職名

  • 部署

    法文学部

学歴等

学位

  • 修士(情報科学)
  • 博士(地理学)

その他基本情報

所属学協会

  • 日本災害情報学会
  • 日本リモートセンシング学会
  • 日本活断層学会
  • 日本地理学会

経歴

  • 2017年04月 - 現在, 国立大学法人愛媛大学(講師)
  • 2016年02月 - 2017年03月, 愛知工業大学(PD研究員)
  • 2012年03月 - 2016年01月, 独立行政法人国立環境研究所(特別研究員)
  • 2009年04月 - 2012年02月, 名古屋大学 災害対策室(特任助教)

研究活動情報

研究分野等

研究分野

  • 地理学, 地理学

研究キーワード

  • 変動地形学
  • リモートセンシング
  • 写真測量
  • GIS

著書・発表論文等

論文

  • 瓶ヶ森山頂における植生調査のための精密地形計測, 石黒聡士, 愛媛大学法文学部論集人文学編, 2019年02月, 13419617
  • 変動地形学における地形調査手法, 石黒聡士, 愛媛大学法文学部論集人文学編, 2018年09月, 13419617
  • 地表地震断層の調査における情報共有―2016年熊本地震直後の事例―, 石黒聡士, 横田崇, 横田崇, 災害情報, 2017年06月, 1348-3609
  • ドローンの地質調査への活用 神城断層調査におけるドローン活用事例, 石黒聡士, 地質と調査, 2017年04月, 0913-0497
  • SfM‐MVSを応用した出水前後の微地形変遷の検討, 赤堀良介, 原口守啓, 石黒聡士, 青島正和, 中田詞也, 河川技術論文集, 2017年
  • Evaluation of DSMs generated from multi-temporal aerial photographs using emerging structure from motion-multi-view stereo technology, Ishiguro Satoshi, Yamano Hiroya, Oguma Hiroyuki, GEOMORPHOLOGY, 2016年09月, [査読有り], 0169-555X, 10.1016/j.geomorph.2016.05.029
  • UAVを用いた平成28年熊本地震の地表地震断層の撮影と地形モデル作成, 石黒聡士, 松多信尚, 井上公, 中田高, 田中圭, 石山達也, 箕田友和, 竹竝大士, 森木ひかる, 廣内大助, 日本リモートセンシング学会誌, 2016年07月, 0289-7911, 10.11440/rssj.36.214
  • UAVによる空撮とSfM‐MVS解析による地表地震断層の地形モデル作成とその精度―2014年11月長野県北部の地震を例に―, 石黒聡士, 熊原康博, 後藤秀昭, 中田高, 松多信尚, 杉戸信彦, 廣内大助, 渡辺満久, 澤祥, 鈴木康弘, 日本リモートセンシング学会誌, 2016年04月, 0289-7911, 10.11440/rssj.36.107
  • Classification of Seagrass Beds by Coupling Airborne LiDAR Bathymetry Data and Digital Aerial Photographs, Ishiguro Satoshi, Yamada Katsumasa, Yamakita Takehisa, Yamano Hiroya, Oguma Hiroyuki, Matsunaga Tsuneo, AQUATIC BIODIVERSITY CONSERVATION AND ECOSYSTEM SERVICES, 2016年, [査読有り], 2191-0707, 10.1007/978-981-10-0780-4_5
  • 糸魚川‐静岡構造線北部に出現した2014年長野県北部の地震(神城断層地震)の地表地震断層, 廣内大助, 松多信尚, 杉戸信彦, 熊原康博, 石黒聡士, 金田平太郎, 後藤秀昭, 楮原京子, 中田高, 鈴木康弘, 渡辺満久, 澤祥, 宮内崇裕, 活断層研究, 2015年09月, 0918-1024, 10.11462/afr.2015.43_149
  • Spatial Variations of Tsunami Run-up Heights for the 2011 off the Pacific Coast of Tohoku Earthquake, Based on GIS Analysis of Tsunami Inundation Area Data and Digital Elevation Model, Sugito Nobuhiko, Matsuta Nobuhisa, Ishiguro Satoshi, Uchida Chikara, Senda Yoshimichi, Suzuki Yasuhiro, JOURNAL OF GEOGRAPHY-CHIGAKU ZASSHI, 2015年, [査読有り], 0022-135X, 10.5026/jgeography.124.157
  • Case Study on Methods for Measuring Old Topographic Data and Validating Accuracy, Ishiguro Satoshi, Sano Shigeki, Hasegawa Tomonori, Suzuki Yasuhiro, JOURNAL OF GEOGRAPHY-CHIGAKU ZASSHI, 2015年, [査読有り], 0022-135X, 10.5026/jgeography.124.297
  • 東北地方太平洋沖地震による津波被災マップの作成経緯と意義, 松多 信尚, 堀 和明, 廣内 大助, 海津 正倫, 碓井 照子, 鈴木 康弘, 杉戸 信彦, 後藤 秀昭, 石黒 聡士, 中田 高, 渡辺 満久, 宇根 寛, 田村 賢哉, 熊原 康博, E-journal GEO, E-journal GEO, 2012年
  • 名古屋大学安否確認システムの現状と東日本大震災からの教訓, 梶田 将司, 太田 芳博, 大平 健司, 田島 尚徳, 石黒 聡士, 飛田 潤, 高倉 弘喜, 伊藤 義人, KAJITA Shoji, OHTA Yoshihiro, OHIRA Kenji, TAJIMA Hisanori, ISHIGURO Satoshi, TOBITA Jun, TAKAKURA Hiroki, ITOH Yoshito, 電子情報通信学会技術研究報告IA, インターネットアーキテクチャ, 電子情報通信学会技術研究報告IA, インターネットアーキテクチャ, 2011年10月, 0913-5685
  • A Photogrammetric Correction Procedure for Light Refraction Effects at a Two-Medium Boundary, Murase Toshimi, Tanaka Miho, Tani Tomomi, Miyashita Yuko, Ohkawa Naoto, Ishiguro Satoshi, Suzuki Yasuhiro, Kayanne Hajime, Yamano Hiroya, Photogrammetric Engineering & Remote Sensing, 2008年09月, [査読有り], 0099-1112, 10.14358/PERS.74.9.1129
  • 大規模津波災害直後における迅速な微地形把握のためのIKONOSとQuickBirdの単画像の組み合わせによる細密DSM作成, 石黒 聡士, 杉村 俊郎, 日本リモートセンシング学会誌, 2008年, 0289-7911|1883-1184, 10.11440/rssj.28.265
  • 2004年スマトラ沖地震に伴うアンダマン諸島北西端の地震時隆起量 ―IKONOSとQuickBird画像の組み合わせによるステレオ計測―, 石黒 聡士, 地理学評論, 2008年, 1347-9555|2185-1727, 10.4157/grj.81.535
  • 糸魚川-静岡構造線活断層帯中部,松本盆地南部・塩尻峠および諏訪湖南岸断層群の変動地形の再検討, 澤 祥, 安藤 俊人, 隈元 崇, 佐野 滋樹, 野澤 竜二郎, 坂上 寛之, 渡辺 満久, 鈴木 康弘, 谷口 薫, 廣内 大助, 松多 信尚, 内田 主税, 佐藤 善輝, 石黒 聡士, 田力 正好, 杉戸 信彦, 活断層研究, 活断層研究, 2007年, 0918-1024, 10.11462/afr1985.2007.27_169
  • 糸魚川-静岡構造線活断層帯中部,諏訪盆地北東縁の変動地形とその認定根拠,および変位速度分布, 田力 正好, 内田 主税, 坂上 寛之, 隈元 崇, 渡辺 満久, 鈴木 康弘, 杉戸 信彦, 澤 祥, 谷口 薫, 廣内 大助, 松多 信尚, 佐藤 善輝, 石黒 聡士, 安藤 俊人, 活断層研究, 活断層研究, 2007年, 0918-1024, 10.11462/afr1985.2007.27_147
  • 携帯型簡易地形計測装置「Handy Station」の開発と活断層地形調査への活用, 活断層研究, 2007年, 10.11462/afr1985.2007.27_17
  • 糸魚川-静岡構造線断層帯北部,大町~松本北部間の変動地形認定と鉛直平均変位速度解明, 活断層研究, 2006年, 10.11462/afr1985.2006.26_121
  • 写真測量技術を導入した糸魚川-静岡構造線断層帯北部(栂池―木崎湖)の詳細変位地形・鉛直平均変位速度解析, 松多 信尚, 佐野 滋樹, 野澤 竜二郎, 坂上 寛之, 隈元 崇, 渡辺 満久, 鈴木 康弘, 澤 祥, 安藤 俊人, 廣内 大助, 田力 正好, 谷口 薫, 佐藤 善輝, 石黒 聡士, 内田 主税, 活断層研究, 活断層研究, 2006年, 0918-1024, 10.11462/afr1985.2006.26_105

講演・口頭発表等

  • 測深LiDARによる藻場密度分布図の作成, 酒井徹, 石黒聡士, 松永恒雄, 山野博哉, 小熊宏之, システム農学会シンポジウム要旨集, 2018年
  • 「海から目線」の防災―海上釣り客の津波避難行動のGPS分析―, 服部亜由未, 森田匡俊, 小池則満, 宮川竜一, 石黒聡士, 日本地理学会発表要旨集, 2017年03月
  • 活断層研究における航空機リモートセンシング, 鈴木康弘, 石黒聡士, 日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2017年
  • 航空機搭載型測深LiDARのWaveformによる海草藻場の検出, 酒井徹, 石黒聡士, 山田勝雅, 小熊宏之, 山野博哉, 松永恒雄, 日本リモートセンシング学会学術講演会論文集(CD-ROM), 2016年05月
  • 航空写真のSfM‐MVS解析による詳細DSM作成とその精度, 石黒聡士, 山野博哉, 小熊宏之, 日本地理学会発表要旨集, 2015年09月
  • 航空機搭載型測深LiDARによる海底地形データを用いた浅海底被覆分類の試み(速報), 石黒 聡士, 山田 勝雅, 山北 剛久, 山野 博哉, 松永 恒雄, 日本地理学会発表要旨集, 2013年, 1.はじめに
    浅海域の生態系や水環境の動態を推し量るうえで、生物群の生息場の役割を果たす海草・海藻類をはじめとする海中基質の分布を正確に把握することが重要である。海藻・海草類をはじめとする海中基質の分布調査は潜行による直接調査のほかに、航空写真や衛星画像等の画像を用いた教師付分類手法など、リモートセンシングによる分布の傾向の把握手法が提案されている。
    しかし,水域の画像解析による基質の把握は,陸域のそれとは異なり、色調の変化が水深に大きく拘束されるため,色調変化の補正が必須となる。特に、船舶が侵入できない浅海域においては正確な水深を面的に効率よく計測することが困難であるため、水深による色調の補正が難しく、従来は水深による色調の変化が誤分類の大きな要因となっていた。
    国立環境研究所は平成24年11月から12月にかけて東北沿岸の一部において航空機搭載型ライダ(LiDAR)による測深を実施した。本研究では、航空機搭載型測深LiDARにより得られた細密な海底地形を用いて航空写真の色調を補正し、浅海底の被覆分類を試みたので報告する。本研究は平成24年度補正予算、独立行政法人産業技術総合研究所「巨大地震・津波災害に伴う複合地質リスク評価」事業の一部として実施されている。

    2.航空機搭載型測深LiDAR
    航空機搭載型測深LiDARは緑色の波長(532nm)のレーザを海面に照射して海底面からの反射をとらえることにより海底地形を計測する技術である。航空機はGPS/IMUを搭載しており、レーザ照射時刻と反射波の時間差から、反射地点の3次元座標が決定される。このときの座標系はWGS84に準拠しており、鉛直方向は楕円体高である。したがって、データ取得後にジオイド高補正し標高を算出する。これにより従来は効率的な海底地形計測が困難であった水深0m~十数mの浅海域において、面的に効率よく計測することが可能である。このシステムを固定翼機(セスナ208)に搭載し、レーザ照射による人体への影響を考慮した安全高度を維持して観測飛行を行う。
    このシステムは各点における反射波形を記録している。さらに、観測飛行中に毎秒1枚の8ビットRGB画像を撮影するカメラ(RedLake)を搭載している。このカメラの解像度は1600×1200画素で地上分解能は約0.4m/画素(飛行高度3000 ft時)である。なお、観測飛行は中日本航空株式会社によって実施された。

    3.対象地域と計測および分類手法
    本研究の対象地域は岩手県山田湾の小島周辺である。この地域は平成23年東日本大震災の前から現地調査が続けられている。震災により東北の多くの湾内で藻場が消失するなどの環境変化が起こった中にあって、震災後も藻場が消失することなく分布していることが確認されており、浅海域の生態系や水環境の動態を理解する上で貴重なサイトである。
    当該地域の観測は平成24年11月30日に実施された。観測結果(水深データによる陰影図およびRedLake画像)を図1に示す。
    本研究ではまず、1)RedLake画像を用いた教師付分類法による底質分類、2)細密水深データによる色調補正を施した画像を用いた教師付分類法による底質分類を実施する。2)の色調補正はdark pixel法による大気補正をした上で、Yamano and Tamura (2004)による手法を用いて水深による色調補正を行う。なお、本研究で使用した画像と水深のデータから簡易的に推定したR,G,Bの減衰パターンを図2に、また、これによって色調補正した結果を図3に示す。
    これらによって得られた画像を用いた分類結果を、現地調査によるグラウンドトゥルースと比較することにより評価する。現地調査は2012年10月に実施した。

    4.結果と今後の計画
    本研究では細密な浅海海底地形データを用いて航空写真の色調を補正して分類を行った。その結果、補正前の画像に比べて誤分類の確率が減少することを確認した。今後、色調補正の手法を精緻化することにより、さらに正確な分類が可能になること考えられる。
    また、航空写真の画像判読と現地調査結果および細密海底地形データの範読から、局所的に凹凸が激しい領域が藻場である可能性が高いことが分かった。今後、地形の凹凸度合いを指標化し、新たな画層としてRGBに追加して教師付分類や、各点で記録された反射波形を指標として考慮した分類手法を試みる予定である。

    参考文献
    Yamano, H. and Tamura, M. 2004. Detection limits of coral reef bleaching by satellite remote sensing: Simulation and data analysis. Remote Sensing of Environment 90: 86–103.
  • 高解像度DEMの災害地理学的研究への応用, 石黒 聡士, 日本地理学会発表要旨集, 2013年, 1.はじめに
    災害地理学的研究において数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)は,既に起こった災害の「なぜ」を解く重要な手がかりであると同時に,今後起こりうる災害の被害を予測するための,決定的な境界条件の一つである.災害地理学的な考察,たとえば,丘陵地の宅地造成地における地滑りによる建物被害を考察する過程では,その場所における過去の地形や,現在の地形に至るまでの変遷が重要である.一方,特に津波による被害や津波シミュレーションの精度向上のためには,海底地形が重要である.しかし,失われた過去の地形や海底地形など,普段直接目にすることができない地形を正確に把握するためには,それに適した計測手法を用いたり,場合によっては新たな計測手法を開発しなくてはならない. 筆者らは,「災害地理学的研究のための高解像度DEM作成」を軸に,(1)過去の地形の詳細な復原について,(2)浅海底地形の細密な計測について解析を行っている.また,これらによって作成されたDEMの精度を明らかにし,どこまでの議論が可能かの検討を進めている.本発表ではそれぞれの概要を述べる.  

    2.過去の地形の復原
    東日本大震災では,仙台市の宅地造成地で大規模な地滑りが発生し,建物が傾くなど多くの被害を出した.仙台市は,宅地造成の履歴マップ(縮尺1万分の1)を作成し,Web上で公開するとともに(仙台市,2013),建物・地盤被害分布との関係を分析している(森・風間,2013).また,建物被害の分布と,切り土盛り土分布との間には相関が見られるという報告があり(佐藤・中埜,2011),切り土盛り土境界は防災上重大な意味を持つと考えられる.その境界を正確に知るためには,過去の地形をできるだけ正確に復原したDEMを作成する必要がある.過去の地形のDEMを作成する方法には,1)過去の大縮尺地形図から等高線をデジタイズする方法,2)航空写真測量により直接地形モデルを作成する方法がある. 著者らは上述の手法によって作成されるDEMの精度を検証するために,モデルケースとして,愛知県名古屋市の旧版の都市計画図およびそれを作成する際に使用した航空写真を入手し,DEMを作成した.当時から地形改変のない場所を選定し,精度検証を行うとともに,過去と現在の地形の差分を,新旧のDEMを差し引きすることにより求めた.これにより,切り土盛り土境界の位置を推定した.また,作成手法の違いによる精度の違いを検証した.  

    3.航空機搭載型測深LiDARによる浅海底の地形計測
    海底地形は,通常,測量船に艤装されたマルチビーム測深機により計測される.測量船による計測は確立された技術に基づいた高精度な計測が可能である一方,水深が十数mより浅い浅海域には大型の測量船が進入できない.浅海域でも航行可能な小型船による測深には多くの時間を要し,広域性に欠ける.したがってこれまで,広範囲の浅海底地形を効率よく均質に計測することは困難であり,陸上DEMと海底DEMとの間にギャップが存在する.近年,航空機搭載型測深LiDARによる測深技術が実用化されている.これは上空から波長532 nm(緑色)のレーザーパルスを照射し海面および海底からの反射時間を計測して水深を計測する技術で,計測が可能な水深が数十mより浅い範囲に限られるものの,測量船による海底DEMと陸上DEMとの間のギャップを埋めることが期待される. 国立環境研究所と産業技術総合研究所は,現在,北海道から紀伊水道にかけての太平洋沿岸の一部で,航空機搭載型測深LiDARにより海底地形を計測中である.同種のセンサーは日本国内では海上保安庁のみが保有しており,研究機関による学術的利用は国内初である.これまでに得られた地形データについて精度検証を行った結果,1 m程度(標準偏差)の精度であった.今後,誤差の水深依存性や水質依存性,底質依存性などについても詳細に検証を進める.

    4.目的に適したDEM作成の必要性
    災害地理学的研究に使用するDEMは,その目的に適した手法により作成されなくてはならない.また,保証される精度以上の議論に使用されてはならない.これまで,データ利用の際に,誤差や精度が考慮されることはあっても,そのデータが作成された経緯や手法までは十分な注意が払われてこなかったように思われる.しかし,特に災害地理学的な検証に利用する際は,これらに十分留意し,場合によっては使用目的に合致した作成手法でデータをいちから作成し直すことも必要である.
  • 津波被災マップと詳細DEMのGIS解析からみえてきた2011年東北地方太平洋沖地震の津波遡上高の地域性, 杉戸 信彦, 松多 信尚, 石黒 聡士, 内田 主税, 千田 良道, 鈴木 康弘, 日本地理学会発表要旨集, 2013年, 1.はじめに
     ハザードの「地域性」は,災害を理解する鍵のひとつである.津波防災においては,遡上高に関する地点ごと・浦ごとの情報が,地域防災力向上に欠かせない.しかし,甚大被害をもたらした2011年東北地方太平洋沖地震でも,遡上高の空間的差異は十分には把握されてこなかった.
     今回の津波については,東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ(2011)や原口・岩松(2011)らによって直後から踏査が行われてきた.しかし,計測基準が踏査者で異なる,未踏査域がある,また必ずしも直後の踏査ではない等の問題を抱え,津波挙動の地域差をきちんと把握しきったデータとはいえない.津波浸水,そして甚大被害の「地域性」をきめ細かく理解しなければ,他の津波リスクのある土地も含め,津波防災は適切なものにはならない.
     著者らは,津波遡上高について広域を網羅した系統的かつ詳細な均質データを作成し,津波挙動の地域性と要因を検討すべく,1:25,000津波被災マップ(日本地理学会災害対応本部津波被災マップ作成チーム,2011)と国土地理院提供の地震後DEMのGIS解析を行ってきた.本発表ではその概要を,鈴木ほか(2013)に基づいて述べる.
    2.方法
     1:25,000津波被災マップ(青森県中部~千葉県北部)は,福島県中南部を除き,国土地理院地震直後撮影の航空写真を実体視して作成されており,実体視判読に基づく唯一の津波浸水域データである(松多ほか,2012).福島県北部以北については,地震直後撮影航空写真のオルソ画像を基図として判読作業をコンパイルしており,紙地図に記入した場合に生じる誤差は回避されている(松多ほか,2012).実体視判読による津波浸水域認定の妥当性も確認されている(杉戸ほか,2012).国土地理院提供の地震後DEMは2 mまたは5 mメッシュであり,範囲は岩手県~福島県北部である.これらのデータをGIS上で重ねあわせ,津波が入った内陸側の限界ラインの標高を表示する「津波遡上高分布図」を,岩手県~福島県北部について作成した.
     作成に際しては,A.津波浸水ラインが海岸線と交わる場所は,標高が0 mと表示されるため,除外する,B.浸水ラインが急崖付近の場所は,浸水ラインが基部なのか斜面なのか判読がやや困難であるので,除外する,等の処理を行った.Bについては,翻って考えると,傾斜の緩い場所においては浸水ラインの位置の誤差は標高誤差をほとんど発生させないため,得られた標高値はDEM自体の有する標高誤差(数10 cm)とほぼ同等ということになる.
    3.津波遡上高の地域性
     作成した「津波遡上高分布図」をみると,津波挙動の地域的差異が一目瞭然である.例えば気仙沼南方,大島の東側・西側は,数100 mしか離れていないにもかかわらず,東側では標高20 mを越えるのに対して西側では同10 mに達していない.前者は短い波長の津波が外洋から直接入って大きく遡上したのに対し,後者は南北に細長くのびる内湾に面するため,主に長い波長の津波によって浸水したと考えられる.気仙沼付近をみると,海岸部と内陸部で遡上高に大きな差異は認められず,また現地調査では2階まで浸水しながら流失を免れた家屋が認められた.よって,気仙沼湾の奥部においては,長い波長の津波が比較的ゆっくりした速度で流入したと考えられる.こうした分析は,家屋の多くが流出した激甚被災域の地域性を理解する鍵のひとつにもなる.今後さらに検討をすすめる予定である.
  • 明治三陸・昭和三陸・チリ津波と今回の津波の違いとその意義, 松多 信尚, 杉戸 信彦, 千田 良道, 堀 和明, 石黒 聡士, 内田 主税, 鈴木 康弘, 日本地理学会発表要旨集, 2013年, はじめに: 津波高・遡上高分布は分布範囲と高い値が重視され,遡上高のばらつきは注目されない.東北地方太平洋沖地震では,日本地理学会災害対応本部津波被災マップ作成チーム(2011)や東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ(2011)などによって浸水範囲,津波高,遡上高が公表されている.津波の遡上高に着目すると,隣り合う谷ごとで遡上高は大きく異なる.我々はその原因が海岸線付近の地形特性と津波の性質の関係にあると考え,その関係性を明示することが,津波や地震による災害の想定に重要と考える.そこで,本報告では,遡上高のばらつきと海岸地形から津波の性質を推定し,今回の海底地震断層の特徴にせまりたい.海岸地形の分類: 内閣大臣官房都市計画課(1934)は種市町から女川町までの浦々を地形の特徴をもとに分類した.その分類は,甲類1:外洋に面するV字湾,甲類2:外洋に面するU字湾,甲類3:外洋に面し凹凸が少ない海岸,乙類4:大湾内にあるV字湾,乙類5:大湾内にあるU字湾,乙類6:大湾内にあり凹凸が少ない海岸,丙類7:細長く浅い湾,丁類8:直線に近い海岸線である.本報告ではこの分類に従い,未分類の場所は同じ基準で新たに分類した. 明治三陸津波,昭和三陸津波,チリ津波の比較: 明治三陸津波の遡上高は全域で甲類が乙類より大きい.また甲類の中でも甲類1の遡上高が大きい.その傾向は昭和三陸津波にも当てはまる.両者を比較すると,久慈付近など北部では明治の津波が一段と高い傾向が,逆に女川や雄勝など南部では昭和三陸津波の遡上高が明治のそれより大きい傾向があり,震源域が明治三陸津波の方が北に偏っていたことがわかる.宮古から南三陸の区間では明治津波が昭和の津波より1.5倍程度大きい.データ数は少ないが,明治と昭和の比率は乙類のほうが甲類より若干大きい傾向もある.一方,チリ津波では乙類が甲類より高い遡上高が観測されており,久慈から女川までの区間で顕著な地域性は見られない.明治津波と比較すると,明治津波の遡上高がチリ津波のそれに対して,甲類の浦では4から10倍以上と大きい.それに対し乙類の浦では2倍程度の場合が多く,明治津波の中心域でもチリ津波の遡上高が明治津波を上回る浦があることがわかる.したがって,チリ津波で乙類の遡上高が甲類より大きい理由は津波高が低いことの影響ではなく,津波の性質を反映していると考えられる.シミュレーションの結果から甲類,乙類における遡上高の特徴は,津波の波長が影響することが示された.つまり,長波長の性質の津波は這い上がるような遡上をせず,乙類のような湾の奥まで到達するのに対し,短波長の津波は甲類,特にV字湾のような地形を這い上がるような傾向が見られる.東北地方太平洋沖地震の津波と明治津波の比較: 以上の知見から今回の津波の遡上高分布を検証してみると,釜石以北(北部)では甲類が乙類より大きい傾向があるのに対し,大船渡から女川間(中部)では乙類と甲類の遡上高に顕著な違いが見られず,仙台平野南部以南(南部)では再び甲類が乙類より大きい傾向がある.また,甲類1における今回の津波の遡上高は北部では明治津波より高いのに対し,中部では逆に明治津波より低い値を示している.このことは,今回の津波が北部と南部で短波長の成分を有し,中部では顕著な短波長成分を有していないことを示す.次に今回の津波と明治三陸津波の遡上高を比較すると,乙類では全域で4倍程度と大きく,甲類では北部で2-4倍,中部では概ね2倍以下になっている.以上のことから,今回の津波は全域にわたり明治三陸津波より長波長の成分を有していたと思われる.今回の地震の海底地震断層の推定: 今回の地震で短波長の津波が発生した理由として,地震波の解析から断層浅部が特に大きくすべったとするモデル(例えばYagi et al., 2012) と海底地形の特徴から断層が浅部で高角になるとするモデル (Nakata et al, 2012) が提案されている.前者では震源域の中心部で短波長の特徴が見られない事を説明できないのに対し,後者では断層面の傾斜変換が北部と南部で起きたとしており,遡上高の特徴を良く説明している.


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