大学院理工学研究科(工)
理工学専攻(電気電子工学)
都築 伸二
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共同研究・競争的資金等の研究課題
(公開件数:29件)
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1
日本学術振興会
科学研究費助成事業
一線式によるデータと電力同時伝送システムとSmart EMCへの適用研究
基盤研究(C)
2021/04-2024/03
研究の目的:これまでできなかった稠密な電磁環境のモニタリングが,IoT(Internet of Things)によって可能となることに着目した研究である。従来のEMC技術は単に電気機器単体で,かつ出荷時の性能を担保するに留まっていた。しかし,IoTを利活用すれば自身の経年劣化や故障に伴う障害発生を抑えたり,EMC規格は満たしていても所要SNRを満足していない状況を改善できるはずである。 今年度対象とした車載クレーンのワイヤーロープを用いた情報と電力の同時伝送システムでは、滑車(シーブと呼ぶ)を介してワイヤーロープが電気的にループ回路を形成することに着目し、筆者らが考案した一線式PLC(Power-Line Communication)システムを適用した。これは,通常のPLCとは異なる電流駆動型であり,かつワイヤとは非接触であるため,ワイヤーロープ通信にも適しているためである。本年度は同じ構造で電力も同時に伝送できることを実証する。またこの時に発生するノイズを例に、2022年度にSmart EMCシステムを提案する。 <BR> 研究実施方法と結果:従来システムでは筆者らが考案した一線式PLCにて非接触で通信が行えることを実証することが目的であったため、信号源の出力インピーダンスは50Ωであり、最大1W 程度しかフックで受電できなかった。 今年度,送電側にパワーアンプを挿入し,また受電側に力率改善コンデンサを挿入した結果,ワイヤー長30m において最大73W まで受電可能になり、当初受電目標の50W以上の成果を得た.また,この73W受電時、高調波ノイズが発生していることを確認したうえで、同じワイヤーで行ったPLC(G3-PLC規格準拠)に及ぼす影響について考察した.このノイズを例に2022年度はSmart EMCシステムの具現化方法を検討する。
2
日本学術振興会
科学研究費助成事業
Blockchainと分散学習による群ロボットの高信頼型協調動作に関する研究
基盤研究(C)
2021/04-2024/03
群ロボットシステムは,個々の自律分散型ロボットが目的や意思を持った一つの集団として行動し,所望の目標を達成するロボットシステムである.このシステムを構築する際は,Peer-to-PeerによるWireless Networkがしばしば利用される.スケーラビリティの向上が期待され,さらに耐障害性の高さも保証出来るが,セキュリティ確保の困難さ,匿名性による悪意ある命令の実行の可能性があるというデメリットも存在する.また,群ロボットが活動する範囲を考えた場合,通信プラットフォームがカバーする通信可能範囲の制約を受けるため,広大なエリアにおいての動作は難しい.そこで群ロボットの制御に対し,Low Power, Wide Area (LPWA)システム,BlockchainとMulti-Agent自律分散型深層学習を組み合わせたシステムを提案する. 今年度は,(1)Ape-Xが分散型深層学習のプラットフォームとして妥当であるかを検証し,multi-agent systemへの適用が可能か検討した.その結果,動作の主体となるActorを各agentに割り当てる事で実現できる事を確認した.その一方,LearnerとReplay Memoryはsystemとして1つを共有するため,上記agentに於いてメインシステムとなる個体を別途用意する必要が判明した. 並行して,(2)P2PとBlockchainをベースとしたagent間コミュニケーションシステムを構築した.本開発では,一般的なIP網を基盤とした通信環境に於いて,OSやハードウェアの差異に影響を受けない形での情報共有技術の実現を目指し,ハイブリッドP2Pと軽量型Blockchainを組み合わせる事によって実現した.この結果,各agentが保有する環境情報を模したダミーデータを,異なるagent間で誤り無く送受信出来る事を実験的に確認した.
3
日本学術振興会
科学研究費助成事業
先進センシング技術を利用した光・音・振動の相互作用に基づく潜在き裂の非破壊評価
基盤研究(B)
2021/04-2024/03
本研究は,き裂の応力状態に応じて生じる超音波の非線形性を利用して,広範囲からき裂の検出を行い,さらに局所検査によってき裂の同定を行う先進的非破壊評価法を開発することを目的とする.広域検査では,レーザー光の時間変調を利用して単一周波数の連続波となるように超音波を発生し,水平方向に長距離伝搬させる.このとき,同時に小型錘で構造部材を加振することでき裂面の応力状態を変化させると,界面接触に起因する非線形振動が現れることを利用する.き裂の局所検査には,レーザー光の空間変調を利用して照射面下に超音波を発生させ,き裂による散乱波を開口合成してき裂の同定を行う.R3年度は,レーザー光の時間変調を用いた超音波の周波数制御と,受信超音波の無線転送の基礎検討を行った. 広域検査のために,対象物に連続波の超音波を送信する光学系を設計・製作した.レーザー光源は高周波の繰り返し周波数で発信するが,このときゲート信号に応じてレーザーの発振をON-OFF することで,低周波の周波数を発生させることに成功した.現状では,ゲート信号を急にOFFにすることで波形ががたついているので,波形処理を導入して受信波形を整形して出力することを検討している. 受信した超音波を無線通信でPCに転送するための基礎検討を行った.無線・小型化のために,現状の加速度センサの構造と特性を把握する必要があった.富士セラミクス(株)の協力の下,圧電素子部分とアンプを切り分け,研究室にてバラック状態であるが振動を計測することができた.一方で,ファンクションジェネレータの信号をトリガとして,無線による計測開始を制御することができた.今後は,これらを組み合わせ,振動を計測して無線転送するシステムを構築する予定である.また,小型ケースに収納できるように,個々の部品のアセンブリを行う.
4
愛媛大学
先進センシング技術を利用した光・音・振動の相互作用に基づく潜在き裂の非破壊評価
基盤研究(B)
2021/04/01-2024/03/01
5
日本学術振興会
科学研究費助成事業
一線式信号伝送によるグリーンPLCシステムとグリッド・アウェアネスへの応用研究
基盤研究(C)
2016/04-2019/03
本研究の目的は、筆者らが考案した一線式PLCシステムを発展して、高SN比通信路を提供し、超低消費電力(グリーンな)PLCシステムという新たな研究領域を提唱することである。 本研究期間では、クレーンのブーム先端とフック間でのエネルギーと情報の同時伝送方式を開発した。この伝送路のインピーダンスは所望の周波数帯域において数10Ωであるため、低減衰かつ低ノイズであり、データパケットを損失することなく100%伝送できた。 情報伝送用のトロイダルコアを共用して電力も同時伝送したところ、29mのワイヤで37%、91mで15%の電力伝送効率を達成した。
6
日本学術振興会
科学研究費助成事業
コモンモード伝送と自己給電によるグリーンPLCのための基礎研究
基盤研究(C)
2012/04-2015/03
漏電ブレーカの誤動作問題と従来のN-L (コンセントのN (Neutral)とL (Live)端子を用いる) 伝送時の信号減衰問題の両方を回避できる方式として、PE端子(Protective Earth, コンセントの3番目のアース端子)とN端子間に信号を注入するN-PE伝送方式をまず提案した。 しかしこのN-PE方式でも、ビルのフロア間通信は困難であった。そこで、フロア間を縦断するケーブル(1線のみでよく、信号の帰路は大地を用いる)をインダクティブカプラでクランプして、PLC信号をシングルエンド型で伝送する一線式PLC伝送方式も開発した。
7
日本学術振興会
科学研究費助成事業
PLC技術の異種伝送媒体への適用性と自己給電型PLC方式に関する研究
基盤研究(C)
2009-2011
従来の交流100V線路用電力線通信(PLC)技術の発展研究として、(1)省エネを目的として敷設されることが期待されている宅内直流配電線路、(2)省エネ効果の高いLED照明器具による可視光通信(VLC)通信路、および(3)高効率かつ長距離伝送が可能な磁界共鳴型ワイヤレス給電による通信路、の3種類の線路について、PLC技術の適用性を検討した。また(3)を応用して自己給電型PLC方式のための基礎検討を行った。
8
日本学術振興会
科学研究費助成事業
有線・無線融合型高速電力線通信によるユビキタス・センサネットワークの基礎研究
基盤研究(C)
2005-2006
従来の電力線通信(PLC)は100ボルトの電力線間に通信用信号を重畳する方式である。一方本研究では100ボルトの線とグランド間にも同時に注入(ファントムモード注入と呼ぶ)する新しい通信方式を検討した。ファントムモードで注入した高周波信号は、空間に微弱ながら信号を放射する。従って、複数の電力線が配線されている閉空間では微弱電磁界で満たされ、無線通信が可能となる。こうした形態で行うPLCを"有線・無線融合型PLC"と呼ぶ。本研究では、室内の移動体の位置を高精度に特定できる、つまり通信と測位を同時に実現できるような有線・無線融合型PLC方式を検討した。主な成果は以下の2点である。 (1)微弱無線通信技術: 本研究では、ファントムモード信号の注入・抽出器、及び効率良くアンテナとして励振するために必要なアンテナカプラを開発した。また電力線の配線形態によってアンテナ効率が著しく変動する問題に対しては、PLCモデムに使用されるACコードをシールド付きのものにすることによって解決した。これらの成果は特許としても出願した。 (2)高精度位置特定技術: ホームロボットのナビゲーションを行うことを想定し、可聴音DS-CDMによる屋内高精度位置推定法およびその精度を検討した。(1)の微弱無線により、マイクとスピーカを同期させ、室内のように障害物の多い環境下でも数cmの精度で測位できる技術を開発した。ただし、(a)障害物に隠れていても回折波で測定できるものの精度が劣化すること、及び(b)移動体の測定においてはドップラー効果の影響が懸念された。(a)については測定精度の検定方法を提案した。(b)に対しては、チップ長1023チップのM系列を用いる場合、許容される移動体速度は1m/sec以下であることを明らかにした。 本研究で得られた成果は国際会議で3件発表し、招待論文や解説記事としても出版した。
9
日本学術振興会
科学研究費助成事業
有線・無線融合型高速電力線通信によるユービキタス・ネットワークの開発
基盤研究(C)
2003-2004
多様な情報に対して、アクセス手段を意識せずにいつでも・どこでも利用できるようなネットワーク基盤、つまりユービキタス・ネットワークの研究開発が盛んに行われている。その通信路として、本研究では電力線通信(以後PLC、Power-Line Communication,と呼ぶ。100ボルトの電力線に通信用信号を重畳する方式。)に注目している。 従来のPLC方式は、100ボルトの線間に変調信号を注入する(ノーマルモード注入と呼ぶ)が、本研究では100ボルトの線とグランド線間にも同時に注入(ファントムモード注入と呼ぶ)することで回線容量を倍増しようとする、新しいPLC通信方式を提案している。もともと電力線はエネルギ伝送用として設計されたケーブルであるから、注入した高周波信号はケーブル内に閉じ込められず、空間にも微弱ながら信号を放射する(つまり一種のアンテナとして働く)。室内のような閉空間に、複数の電力線が配線されれば、微弱電磁界で満たされ、無線通信も実現できるようになる。こうした状況で行う通信を「有線・無線融合型電力線通信」と呼ぶこととし、100Mbps程度の屋内ユービキタス・ネットワークをPLCで実現することが本研究の目的である。 電力線からの電磁界の放射は、ファントムモード電流が主に寄与しており、電力線の不平衡度に応じてノーマルモード電流もファントムモードに変換する。従って電力線の不平衡度を正確に測り、通信路モデルに反映できるようにすることは非常に重用である。平成15年度は、不平衡の尺度であるLCLを測定するためのプローブを開発した。平成16年度では、平衡度を含む線路モデル化手法について検討し、上記LCLプローブを利用して、その妥当性を実験的に示した。さらに、このプローブを用いることにより、ファントムモード信号の注入・抽出方法が容易に実現できるようになった。
10
日本学術振興会
科学研究費助成事業
ニューラルネットワークを用いた高精度の動き検出アルゴリズムに関する研究
基盤研究(C)
2001-2002
テンプレートマッチングは,パタン認識や画像解析などの分野で広く用いられている重要な画像処理技術の一つである.本研究代表者らは,二つのディジタル画像の間の微少な移動量を高精度で検出可能な連続的テンプレートマッチング手法(以下では従来手法という)をすでに提案している.同手法においては,帯域制限補間された連続関数のピーク位置を検出するために最急降下法に準じた逐次近似計算法を用いている.このため,演算量が比較的多いこと,処理時間が一定量とならないことなどの問題がある.そこで本研究では,フィードフォワード型ニューラルネットワークを用いた新たなテンプレートマッチング手法を提案した.また,シミュレーション実験により,提案手法による移動量の検出精度および演算量を評価し,従来手法と比較検討した.入力画像に対する雑音モデルとしては,第一次近似的な意味で,相加的な白色ガウス雑音を仮定し,シミュレーション実験により検出精度の評価を行った.検出精度は水平および垂直方向の各移動量についての検出誤差のRMS値によって評価した.なお,提案手法においては,偏導関数を用いないこと,最急降下法のような逐次近似計算を行わないことなどから,演算量の削減(高速化)も期待できる.以上の検討の結果,提案手法を用いることにより,逐次近似手法に基づく従来の連続的テンプレートマッチング手法と同等の高精度な移動量検出が実現できること,およびピーク位置検出の演算量を約1/13に削減できることを明らかにした.
11
日本学術振興会
科学研究費助成事業
電力線通信による高速高信頼ホームネットワーク実現のための基礎研究
基盤研究(C)
2001-2002
ホームネットワークの需要が近年高まっており,新たな線路の敷設が不要な方式として,無線とともに電力線通信が注目されている.ただし電力線は、多分岐配線のためネットワークトポロジが複雑であり,また接続される家電機器のインピーダンスの影響を受けるため,伝送路特性のモデル化は一般に容易ではないとされていた. 平成13年度本研究では、欧米で現在進められている高速電力線通信の標準規格で使用されている,数M〜30MHzつまり短波帯の電力線伝送路の特性を明らかにし,以下の手順で伝送路モデルを作成し、それが妥当であることを確認した.(1)あらかじめ線路の分布定数を求めておき,分岐点間のセグメントを一つの2端子対回路網として、すべての分岐線を2端子対回路網の縦続行列化し,いかなるトポロジでも伝達関数を導出できる方法を考案した。(2)家電機器単体の入力インピーダンスを,集中定数でモデル化しておき、こうした家電機器が,線路のどこに接続されているかを,(1)の線路モデルに与えることで,所望の観測点間での伝達関数を求められるようになった. 平成14年度は特に、信号の伝送モードのうちこれまで利用されていなかったコモンモードに注目し、重信伝送方式を新たに開発した。(a)原理: 従来の屋内電力線通信の場合、100ボルトの線間に信号を重畳し(ノーマルモード)伝送するが、多分岐配線によるインピーダンス不整合や平衡伝送ができない配線形態により、電力線とアース間で電位差を発生する、つまりコモンモードにモードが変換する。本研究では、屋内電力線としてよく用いられる3芯VVFケーブルにおいて、コモンモード変換が起きにくい配線方法を検討し、さらにコモンモードを使って伝送する方式、つまり重信伝送方式を開発した。(b)方式の基礎検討: 受信器側で、ノーマルとコモンの両モードを分離できれば、モード間でのダイバーシティを利用することで、通信容量を増大でき、またデータ伝送の信頼性を向上できる。さらに、送信側で両モードを直交して送出すれば伝送途中でモードが変換しても、分離は可能となるはずである。本研究では、こうした2つのモードの注入と抽出方法を検討し、その効果を実験的に示した。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 奨励研究(A)
広帯域CDMA併用によるマルチメディア通信用LANプロトコルに関する研究
奨励研究(A)
1998-1999
マルチメディア通信を実現するためには、伝送帯域の確保の方法と、ネットワークのレスポンス特性が重要である。従来のイーサネット等に代表される競合型の通信プロトコルに基づくLAN(Local Area Network)では、ビット当たりの伝送速度は高速である反面、伝送帯域の確保の手段がなく、また1局しか同時接続できないため輻輳時には急速にレスポンス特性が劣化してしまう欠点がある。本研究では、従来LANの例として、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)プロトコルをとりあげ、以下の点を解析的に明らかにした。 ・CDMA(符号分割多元接続)技術を適用し、同時接続局数を複数とすることで伝送帯域を確保し、輻輳時のレスポンス特性を本質的に改善できる。 ・ただし、ネットワークが低負荷のときの特性は相対的に低くなるため、低負荷のときはCSMAを使用し、高負荷になるとCDMAに切替えるという、CDMA併用型のプロトコルが有効である。 提案するプロトコルは直接拡散型のスペクトル拡散変調を用いるため、適用線路としては雑音や線路の伝達特性の劣悪な電力線が有効である。本研究では、 ・日本の電力線線路の特性を調べ、1M〜30MHz帯で10Mbps程度の高速通信実現の可能性があること ・より線路特性が劣悪な10k〜450kHz帯でも、キャリアあたり5kHz程度の帯域に分割すれば、OFDMと呼ばれる(広義の)スペクトル拡散変調方式が適用可能である ことを実験的に明らかにした。こうした検討を踏まえ、本研究で提案する通信プロトコルは、キャリア数をネットワーク負荷に応じて変えるOFDM方式にも適用できることが明らかになった。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 奨励研究(A)
広帯域CDMA併用によるマルチメディア通信用LANプロトコルに関する研究
奨励研究(A)
1998-1999
マルチメディア通信を実現するためには、伝送帯域の確保の方法と、ネットワークのレスポンス特性が重要である。従来のイーサネット等に代表される競合型の通信プロトコルに基づくLAN(Local Area Network)では、ビット当たりの伝送速度は高速である反面、伝送帯域の確保の手段がなく、また1局しか同時接続できないため輻輳時には急速にレスポンス特性が劣化してしまう欠点がある。本研究では、従来LANの例として、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)プロトコルをとりあげ、以下の点を解析的に明らかにした。 ・CDMA(符号分割多元接続)技術を適用し、同時接続局数を複数とすることで伝送帯域を確保し、輻輳時のレスポンス特性を本質的に改善できる。 ・ただし、ネットワークが低負荷のときの特性は相対的に低くなるため、低負荷のときはCSMAを使用し、高負荷になるとCDMAに切替えるという、CDMA併用型のプロトコルが有効である。 提案するプロトコルは直接拡散型のスペクトル拡散変調を用いるため、適用線路としては雑音や線路の伝達特性の劣悪な電力線が有効である。本研究では、 ・日本の電力線線路の特性を調べ、1M〜30MHz帯で10Mbps程度の高速通信実現の可能性があること ・より線路特性が劣悪な10k〜450kHz帯でも、キャリアあたり5kHz程度の帯域に分割すれば、OFDMと呼ばれる(広義の)スペクトル拡散変調方式が適用可能である ことを実験的に明らかにした。こうした検討を踏まえ、本研究で提案する通信プロトコルは、キャリア数をネットワーク負荷に応じて変えるOFDM方式にも適用できることが明らかになった。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業
高精度テンプレートマッチング手法の開発と動画像の動き検出への応用に関する研究
基盤研究(C)
1997-1998
本研究によって得られた成果を要約して示す.(1)ディジタル画像の補間モデルとして,(a)標本化関数に基づく理想的なモデル,(b)標本化関数と窓関数を併用するモデル,および(c)双一次補間に基づくモデルのそれぞれについて検討を行った.その結果,標本化関数に基づく理想的なモデルに基づいたテンプレートマッチングが,最も高い検出精度を保証できることが明らかとなった.また,双一次補間に基づくテンプレートマッチングにおいては,検出結果にオフセットが生じる(検出誤差の平均値が零とならない)問題があることが示された.(2)上記の(a)〜(c)のモデルによって記述される補間画像に対する連続的なテンプレートマッチングは積分形式で定式化される.この連続的テンプレートマッチングの問題は,標本値のみを用いた離散的なテンプレートマッチングの問題に等価的に変換でき,かつ画素の整数倍ではないような「見かけの平行移動ベクトル」を検出できることを理論的に明らかにした.また,そのための計算アルゴリズムを開発し,シミュレーション実験によって,その有効性を確認した.(3)静止画像を入力画像として,また入力画像に対して微小な位相推移を与えた画像をテンプレートとしてシミュレーション実験を行い,本手法の検出精度を検証した.その結果,画素間隔の1/10〜1/100程度の高い検出精度が実現できることが明かとなった.(4)本手法を実動画像に適用する場合の演算量の増加を考慮して,従来手法による画素精度のテンプレートマッチングの結果に基づいて,±1画素の範囲で提案手法を適用する2段階手法を開発した.(5)本手法の動き検出以外の分野への応用として,データ埋め込みおよび検出手法としての可能性を検討した.
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日本学術振興会
科学研究費助成事業
高精度テンプレートマッチング手法の開発と動画像の動き検出への応用に関する研究
基盤研究(C)
1997-1998
本研究によって得られた成果を要約して示す.(1)ディジタル画像の補間モデルとして,(a)標本化関数に基づく理想的なモデル,(b)標本化関数と窓関数を併用するモデル,および(c)双一次補間に基づくモデルのそれぞれについて検討を行った.その結果,標本化関数に基づく理想的なモデルに基づいたテンプレートマッチングが,最も高い検出精度を保証できることが明らかとなった.また,双一次補間に基づくテンプレートマッチングにおいては,検出結果にオフセットが生じる(検出誤差の平均値が零とならない)問題があることが示された.(2)上記の(a)〜(c)のモデルによって記述される補間画像に対する連続的なテンプレートマッチングは積分形式で定式化される.この連続的テンプレートマッチングの問題は,標本値のみを用いた離散的なテンプレートマッチングの問題に等価的に変換でき,かつ画素の整数倍ではないような「見かけの平行移動ベクトル」を検出できることを理論的に明らかにした.また,そのための計算アルゴリズムを開発し,シミュレーション実験によって,その有効性を確認した.(3)静止画像を入力画像として,また入力画像に対して微小な位相推移を与えた画像をテンプレートとしてシミュレーション実験を行い,本手法の検出精度を検証した.その結果,画素間隔の1/10〜1/100程度の高い検出精度が実現できることが明かとなった.(4)本手法を実動画像に適用する場合の演算量の増加を考慮して,従来手法による画素精度のテンプレートマッチングの結果に基づいて,±1画素の範囲で提案手法を適用する2段階手法を開発した.(5)本手法の動き検出以外の分野への応用として,データ埋め込みおよび検出手法としての可能性を検討した.
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日本学術振興会
科学研究費助成事業
トレリス手法に基づくハードディスクシステムの高密度化に関する研究
基盤研究(B)
1996-1998
本研究が開始された頃のハードディスクシステムのための記録符号に関する研究環境としては,従来の一次元2値レベルでもって(d,k)制約,すなわち磁化反転の最小及び最大間隔制約の改善を行うだけでは,恐らく二十一世紀に期待されている超高密度記録に対応できないだろうとの共通認識があった.勿論,この符号条件の場合d≦kであり,符号化率η≦1に止まっている.そしてこれを解決することのできるブレークスルーとして, (1) 符号利得の改善(あるいは誤り訂正機能の向上) (2) η>l実現を可能にする多値化(3値あるいは4値レベル) (3) トラック方向の同時符号化も考慮して,面密度改善を目指す二次元化 などの手法開発に注目が集まり出していた. 本研究は,上記(1)を主とする研究内容を持っている.取り分け,記録符号,パーシャル・レスポンス(PR)等化方式,最尤(ML)信号検出法の一つであるViterbi方式それぞれが,そのモデルとしていずれも有限状態オートマトン理論でもって記述できることに着目し,トレリス技術の中でもこの特徴を適確に生かせるTCPR(Trellis Coded Partial Response)方式を開発することが主たる目標であった. まず初年度は,η=1/2,2/3及び3/4の一次元PR1(すなわちPR(1.1))方式を開発し,ビット誤り率(BER)特性が規格化線密度Kを当時最良のK=2.4とした場合η=1である従来のNRZI符号+PR1ML方式に比べて優れていること,ならびにK=3.0と近い将来の目標線密度に高めた場合η=3/4 TCPR1方式のみが優れており,高密度では符号化利得よりηの改善が重要であることを明らかにした. 次年度には,高密度記録になる程PR(1,-1)よりPR(1,1)(すなわちPR1)の方がTCPRとしては優れたBER特性を示すことを明らかにしたが,この頃ハードディスクの高密度化達成目標が高度情報化の進展と光記録システムの急速な発展に伴い,20Gビット/(インチ)^2から40G〜80Gと大幅に変更が行われた.このことに伴い,これを達成するため垂直記録の実用化に一層の拍車がかかると共に,記録符号や信号処理にも一段と要求が強まった.例えば,シャノン容量をさらに増加させることや,d>k特性の実現,トラック間の直交性を考慮することによる面密度改善などが求められ,必然的にこれらすべてを満たす二次元手法の導入気運が世界的に盛り上がって来た. 最終年度は,このような研究環境の激変に対応するため,平成10年度の実績報告書に詳述した通りの二次元MTRトレリス符号開発を行い,同一符号化条件下では超高密度(例えばK=5.0)の場合,一次元の場合に比べてBER特性に大幅な改善のあることを明らかにした.尤も,本年度行えたのはそのための基礎的な検討に止まっており,今後この符号の特性改善はまだまだ行わねばならないし,また行うだけの意義が十分にある符号であることを確認している. なお,多値符号についても解析と新たな符号の開発などの検討を行ったが,この成果については光記録分野の方がむしろ大いに関心を寄せて来ている.また,二次元符号それ自体についても,その解析と新たな符号の開発を行った.その結果は,η>1やd>kの符号開発の実現,BER特性の大幅改善が得られ,この改善傾向はトラック数Lを2から3と増加することで飛躍的に向上することも同時に明らかにしている. 最後に,昨今の超高密度記録への急速な動きの中,記録符号研究の未来への展望について,多くの研究者に戸惑いが見られる.このため,長年この分野に携わって来た研究者として.これを体系付けて“越し方行く末"を総括したことも本研究における成果の一つであった.
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日本学術振興会
科学研究費助成事業
トレリス手法に基づくハードディスクシステムの高密度化に関する研究
基盤研究(B)
1996-1998
本研究が開始された頃のハードディスクシステムのための記録符号に関する研究環境としては,従来の一次元2値レベルでもって(d,k)制約,すなわち磁化反転の最小及び最大間隔制約の改善を行うだけでは,恐らく二十一世紀に期待されている超高密度記録に対応できないだろうとの共通認識があった.勿論,この符号条件の場合d≦kであり,符号化率η≦1に止まっている.そしてこれを解決することのできるブレークスルーとして, (1) 符号利得の改善(あるいは誤り訂正機能の向上) (2) η>l実現を可能にする多値化(3値あるいは4値レベル) (3) トラック方向の同時符号化も考慮して,面密度改善を目指す二次元化 などの手法開発に注目が集まり出していた. 本研究は,上記(1)を主とする研究内容を持っている.取り分け,記録符号,パーシャル・レスポンス(PR)等化方式,最尤(ML)信号検出法の一つであるViterbi方式それぞれが,そのモデルとしていずれも有限状態オートマトン理論でもって記述できることに着目し,トレリス技術の中でもこの特徴を適確に生かせるTCPR(Trellis Coded Partial Response)方式を開発することが主たる目標であった. まず初年度は,η=1/2,2/3及び3/4の一次元PR1(すなわちPR(1.1))方式を開発し,ビット誤り率(BER)特性が規格化線密度Kを当時最良のK=2.4とした場合η=1である従来のNRZI符号+PR1ML方式に比べて優れていること,ならびにK=3.0と近い将来の目標線密度に高めた場合η=3/4 TCPR1方式のみが優れており,高密度では符号化利得よりηの改善が重要であることを明らかにした. 次年度には,高密度記録になる程PR(1,-1)よりPR(1,1)(すなわちPR1)の方がTCPRとしては優れたBER特性を示すことを明らかにしたが,この頃ハードディスクの高密度化達成目標が高度情報化の進展と光記録システムの急速な発展に伴い,20Gビット/(インチ)^2から40G〜80Gと大幅に変更が行われた.このことに伴い,これを達成するため垂直記録の実用化に一層の拍車がかかると共に,記録符号や信号処理にも一段と要求が強まった.例えば,シャノン容量をさらに増加させることや,d>k特性の実現,トラック間の直交性を考慮することによる面密度改善などが求められ,必然的にこれらすべてを満たす二次元手法の導入気運が世界的に盛り上がって来た. 最終年度は,このような研究環境の激変に対応するため,平成10年度の実績報告書に詳述した通りの二次元MTRトレリス符号開発を行い,同一符号化条件下では超高密度(例えばK=5.0)の場合,一次元の場合に比べてBER特性に大幅な改善のあることを明らかにした.尤も,本年度行えたのはそのための基礎的な検討に止まっており,今後この符号の特性改善はまだまだ行わねばならないし,また行うだけの意義が十分にある符号であることを確認している. なお,多値符号についても解析と新たな符号の開発などの検討を行ったが,この成果については光記録分野の方がむしろ大いに関心を寄せて来ている.また,二次元符号それ自体についても,その解析と新たな符号の開発を行った.その結果は,η>1やd>kの符号開発の実現,BER特性の大幅改善が得られ,この改善傾向はトラック数Lを2から3と増加することで飛躍的に向上することも同時に明らかにしている. 最後に,昨今の超高密度記録への急速な動きの中,記録符号研究の未来への展望について,多くの研究者に戸惑いが見られる.このため,長年この分野に携わって来た研究者として.これを体系付けて“越し方行く末"を総括したことも本研究における成果の一つであった.
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 奨励研究(A)
伝送符号化拡散符号を用いた電灯線DS/SSMAネットワークに関する研究
奨励研究(A)
1996-1996
以下の2点の成果を得た。 1.伝送符号化拡散符号 従来の研究では、FMファミリ符号と呼ばれる伝送符号により符号化された拡散符号(FM符号化拡散符号と呼ぶ)が本研究者により提案されていたが、同時通信可能局数が3局以下に制限されるという制約があった。本研究では、従来から知られている反対称系列を拡張定義することにより、従来ではできなかったスペクトル形状の制御が可能な拡散符号を新たに開発した。同符号は、FM符号化拡散符号よりも相互相関特性が優れているため、同時通信可能局数を大幅に増加できることが明らかになった。 通信プロトコル 従来のイーサネット等に代表されるCarrier Sense型のTDMA方式LANの場合は,輻輳時にレスポンス特性が急激に低下するという欠点がある。本研究では本研究者が提案しているNP-CSSS/OD(Non-persistent Carrier Sense Spread Spectrum with Overload Detection)と呼ぶCarrier Sense型のSSMA方式通信プロトコルのスループット及び遅延特性について解析的に検討した。その結果、トラヒックの低い場合にはTDMA方式の方がSSMA方式よりもスループット及び遅延特性は勝るが、トラヒックが高くなるとその優劣が逆転することを示し、そのトラヒック量のしきい値を明らかにした。従って、トラヒックに応じてTDMAとSSMAを切り替えて使用する通信プロトコルが、有効であるという新たな知見を得た。 上記成果を実証するうえで、実験ネットワークの構築が必要である。本研究では、その準備として、送信器および信号伝送はハードウェアで行い、受信信号処理は、オフラインでワークステーションで行う実験環境の整備を完了した。この構成にすることで、拡散符号や通信プロトコルのさらなる改善に柔軟に対応できると考えられる。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 奨励研究(A)
伝送符号化拡散符号を用いた電灯線DS/SSMAネットワークに関する研究
奨励研究(A)
1996-1996
以下の2点の成果を得た。 1.伝送符号化拡散符号 従来の研究では、FMファミリ符号と呼ばれる伝送符号により符号化された拡散符号(FM符号化拡散符号と呼ぶ)が本研究者により提案されていたが、同時通信可能局数が3局以下に制限されるという制約があった。本研究では、従来から知られている反対称系列を拡張定義することにより、従来ではできなかったスペクトル形状の制御が可能な拡散符号を新たに開発した。同符号は、FM符号化拡散符号よりも相互相関特性が優れているため、同時通信可能局数を大幅に増加できることが明らかになった。 通信プロトコル 従来のイーサネット等に代表されるCarrier Sense型のTDMA方式LANの場合は,輻輳時にレスポンス特性が急激に低下するという欠点がある。本研究では本研究者が提案しているNP-CSSS/OD(Non-persistent Carrier Sense Spread Spectrum with Overload Detection)と呼ぶCarrier Sense型のSSMA方式通信プロトコルのスループット及び遅延特性について解析的に検討した。その結果、トラヒックの低い場合にはTDMA方式の方がSSMA方式よりもスループット及び遅延特性は勝るが、トラヒックが高くなるとその優劣が逆転することを示し、そのトラヒック量のしきい値を明らかにした。従って、トラヒックに応じてTDMAとSSMAを切り替えて使用する通信プロトコルが、有効であるという新たな知見を得た。 上記成果を実証するうえで、実験ネットワークの構築が必要である。本研究では、その準備として、送信器および信号伝送はハードウェアで行い、受信信号処理は、オフラインでワークステーションで行う実験環境の整備を完了した。この構成にすることで、拡散符号や通信プロトコルのさらなる改善に柔軟に対応できると考えられる。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 奨励研究(A)
符号分割多元接続によるisochronous伝送方式の信号処理に関する研究
奨励研究(A)
1995-1995
符号分割多元接続(CDMA)による等時性(isochronous)伝送を実現するためには,多数の局が同時に送信状態になる輻輳時でも,一定の伝送帯域を確保する仕組み(プロトコル)が必要となる.本研究では,輻輳の程度を推定する信号処理を行い,送信データの緊急度にあわせたプライオリティを導入することにより伝送帯域を分散制御するプロトコルを,主に,理論面から検討した. (a)搬送波及び輻輳状態検出を用いたCDMAプロトコル 従来の時分割多元接続(TDMA)方式のプロトコルのうち,輻輳時の等時性に優れた搬送波検出多元接続/衝突検出(CSMA/CD)方式と同様の信号処理を用いたCDMAプロトコルを提案し,その特性を検討した。提案プロトコルは,搬送波及び輻輳状態を検出する信号処理を行うものであり,従来のこのような信号処理を行わないCDMAに比べてスループット特性が改善できることを示した. (b)回線留保による送信のプライオリティを導入したCDMAプロトコル 一定の伝送帯域を確保するために,回線留保方式と呼ばれる通信モデルをCDMAに適用した場合の伝送特性を調べた。伝送データの緊急度にあわせて送信プライオリティを制御するプロトコルであり,通信路が輻輳していなければ,低いプライオリティのデータを送信する.このため高いプライオリティのデータのisochronous伝送を実現しつつ,伝送路の空き具合に応じて,低いプライオリティのデータを送信することにより,回線利用率を向上できることを示した。今後さらに上記(a)の述べたプロトコルに回線留保によるプライオリティを導入することにより,特性改善が期待できる。 上記(a)(b)に述べたCDMAプロトコルの有用性を、ハードウェアにより今後さらに検証していく予定であり,現在,提案信号処理を含めDSP(デジタル信号処理プロセッサ)にて実現する準備を行っている。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 一般研究(C)
ヘルマート変換モデルを用いた動画像のフレーム間動き予測に関する研究
一般研究(C)
1995-1995
フレーム間の動きがヘルマート変換によって記述され,かつ平行移動成分と共に伸縮および回転の成分が存在する場合に従来のブロックマッチング法を適用すると,伸縮および回転の影響を受けた「見かけの平行移動」が検出される.この見かけの平行移動量の局所的な差分を用いて,ヘルマート変換の伸縮および回転パラメータを閉じた形で導出できる.本研究においては,このような原理に基づく計算効率の良いフレーム間動き予測手法を開発した.本研究の成果を以下にまとめて述べる.(1)伸縮および回転のパラメータは,隣接する複数のブロックで検出された見かけの平行移動の局所的な差分を用いて閉じた形で表現できる.この際のブロックの大きさ,ブロックの間隔,およびブロックの幾何学的な配置などについて実験的に検討を行った.その結果,従来のブロックマッチングで用いられている8〜16画素の等間隔正方ブロックで十分であることを明らかにした.(2)見かけの平行移動の検出精度が,それから計算されるヘルマート変換パラメータの検出精度に与える影響を理論的に検討した.その結果,ブロックサイズを8〜16画素程度に取る場合には,1/2〜1/4画素程度の検出精度を確保することが望ましいことを明らかにした.(3)本手法は,ヘルマート変換よりもさらに自由度の大きいアフィン変換の場合にも拡張できることを明らかにした.これについては,その成果の一部を本年3月に開催される画像符号化国際シンポジウムで発表の予定である.(4)検出誤差を低減するために,一般逆行列に基づいたヘルマート変換パラメータの計算手法を開発した.これについては,計算アルゴリズムとその有効性を現在検証中である.本手法を動画像符号化に適用することによって,符号化効率あるいは再生画質の改善が期待されるが,これについての実験的検討が今後の課題である.
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 奨励研究(A)
符号分割多元接続によるisochronous伝送方式の信号処理に関する研究
奨励研究(A)
1995-1995
符号分割多元接続(CDMA)による等時性(isochronous)伝送を実現するためには,多数の局が同時に送信状態になる輻輳時でも,一定の伝送帯域を確保する仕組み(プロトコル)が必要となる.本研究では,輻輳の程度を推定する信号処理を行い,送信データの緊急度にあわせたプライオリティを導入することにより伝送帯域を分散制御するプロトコルを,主に,理論面から検討した. (a)搬送波及び輻輳状態検出を用いたCDMAプロトコル 従来の時分割多元接続(TDMA)方式のプロトコルのうち,輻輳時の等時性に優れた搬送波検出多元接続/衝突検出(CSMA/CD)方式と同様の信号処理を用いたCDMAプロトコルを提案し,その特性を検討した。提案プロトコルは,搬送波及び輻輳状態を検出する信号処理を行うものであり,従来のこのような信号処理を行わないCDMAに比べてスループット特性が改善できることを示した. (b)回線留保による送信のプライオリティを導入したCDMAプロトコル 一定の伝送帯域を確保するために,回線留保方式と呼ばれる通信モデルをCDMAに適用した場合の伝送特性を調べた。伝送データの緊急度にあわせて送信プライオリティを制御するプロトコルであり,通信路が輻輳していなければ,低いプライオリティのデータを送信する.このため高いプライオリティのデータのisochronous伝送を実現しつつ,伝送路の空き具合に応じて,低いプライオリティのデータを送信することにより,回線利用率を向上できることを示した。今後さらに上記(a)の述べたプロトコルに回線留保によるプライオリティを導入することにより,特性改善が期待できる。 上記(a)(b)に述べたCDMAプロトコルの有用性を、ハードウェアにより今後さらに検証していく予定であり,現在,提案信号処理を含めDSP(デジタル信号処理プロセッサ)にて実現する準備を行っている。
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科学研究費助成事業 一般研究(C)
ヘルマート変換モデルを用いた動画像のフレーム間動き予測に関する研究
一般研究(C)
1995-1995
フレーム間の動きがヘルマート変換によって記述され,かつ平行移動成分と共に伸縮および回転の成分が存在する場合に従来のブロックマッチング法を適用すると,伸縮および回転の影響を受けた「見かけの平行移動」が検出される.この見かけの平行移動量の局所的な差分を用いて,ヘルマート変換の伸縮および回転パラメータを閉じた形で導出できる.本研究においては,このような原理に基づく計算効率の良いフレーム間動き予測手法を開発した.本研究の成果を以下にまとめて述べる.(1)伸縮および回転のパラメータは,隣接する複数のブロックで検出された見かけの平行移動の局所的な差分を用いて閉じた形で表現できる.この際のブロックの大きさ,ブロックの間隔,およびブロックの幾何学的な配置などについて実験的に検討を行った.その結果,従来のブロックマッチングで用いられている8〜16画素の等間隔正方ブロックで十分であることを明らかにした.(2)見かけの平行移動の検出精度が,それから計算されるヘルマート変換パラメータの検出精度に与える影響を理論的に検討した.その結果,ブロックサイズを8〜16画素程度に取る場合には,1/2〜1/4画素程度の検出精度を確保することが望ましいことを明らかにした.(3)本手法は,ヘルマート変換よりもさらに自由度の大きいアフィン変換の場合にも拡張できることを明らかにした.これについては,その成果の一部を本年3月に開催される画像符号化国際シンポジウムで発表の予定である.(4)検出誤差を低減するために,一般逆行列に基づいたヘルマート変換パラメータの計算手法を開発した.これについては,計算アルゴリズムとその有効性を現在検証中である.本手法を動画像符号化に適用することによって,符号化効率あるいは再生画質の改善が期待されるが,これについての実験的検討が今後の課題である.
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日本学術振興会
科学研究費助成事業
光磁気記録の多値化に関する基礎研究
一般研究(C)
1994-1995
従来、光磁気記録においては高密度化をソフト的に達成する手法として(2、7)符号、(1、7)符号に代表されるdk制約符号を、再生側の代表的信号処理方式であるPRMLに組み合わせることが一般的な概念であった。しかしながら、ここで用いられている記録符号はいずれも一次元2値レベルの符号であり、この次元数とレベル数の制約により、いかなる工夫を凝らそうとも、与えられたd、kの値により決まる通信路容量を越えた高密度記録を行うことは不可能であった。 本研究は、このような理論的な壁を乗り越えようとする新たな試みの一つであり、多値記録符号が光磁気記録の高密度化のために有用か否かを検討したものである。対象としては光磁気記録の内、光変調(Light Modulation)と磁界変調(Magnetic Field Modulation)の両者を取り上げた。基本的な考え方として、2値記録に用いている現有のヘッドと媒体を換えることなく多値記録することの可能性をまず追求した。その結果、記録パルス幅を選択することで多値符号を記録出来ることが可能となった。ついで、ビット誤り率10^<-4>を達成する読み出しCN比に関して、現在用いられているビットレートである12Mbpsを24Mbpsまで高密度化させた場合のシミュレーションを行った。 その結果、光変調では12Mbps〜20Mbpsの範囲で(1、7)符号+PR (1、2、1) MLのエッジ記録が、24Mbpsでは3B2T符号+PR (1、2、1) MLが最も優れていること、磁界変調では12〜20Mbpsで3B3T符号+PR (1、1) MLあるいはPR (1、2、1) MLが、24Mbpsでは2B1Q符号+PR (1、2、1) MLが最も優れた組み合わせ方式となることを明らかにした。このことで、本研究の目的である光磁気記録における多値符号の高密度化への有効性が立証出来た。 その他に、本研究では次世代の記録符号としてトレリス符号や二次元符号などについても検討を行ったことを付記しておきたい。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業
光磁気記録の多値化に関する基礎研究
一般研究(C)
1994-1995
従来、光磁気記録においては高密度化をソフト的に達成する手法として(2、7)符号、(1、7)符号に代表されるdk制約符号を、再生側の代表的信号処理方式であるPRMLに組み合わせることが一般的な概念であった。しかしながら、ここで用いられている記録符号はいずれも一次元2値レベルの符号であり、この次元数とレベル数の制約により、いかなる工夫を凝らそうとも、与えられたd、kの値により決まる通信路容量を越えた高密度記録を行うことは不可能であった。 本研究は、このような理論的な壁を乗り越えようとする新たな試みの一つであり、多値記録符号が光磁気記録の高密度化のために有用か否かを検討したものである。対象としては光磁気記録の内、光変調(Light Modulation)と磁界変調(Magnetic Field Modulation)の両者を取り上げた。基本的な考え方として、2値記録に用いている現有のヘッドと媒体を換えることなく多値記録することの可能性をまず追求した。その結果、記録パルス幅を選択することで多値符号を記録出来ることが可能となった。ついで、ビット誤り率10^<-4>を達成する読み出しCN比に関して、現在用いられているビットレートである12Mbpsを24Mbpsまで高密度化させた場合のシミュレーションを行った。 その結果、光変調では12Mbps〜20Mbpsの範囲で(1、7)符号+PR (1、2、1) MLのエッジ記録が、24Mbpsでは3B2T符号+PR (1、2、1) MLが最も優れていること、磁界変調では12〜20Mbpsで3B3T符号+PR (1、1) MLあるいはPR (1、2、1) MLが、24Mbpsでは2B1Q符号+PR (1、2、1) MLが最も優れた組み合わせ方式となることを明らかにした。このことで、本研究の目的である光磁気記録における多値符号の高密度化への有効性が立証出来た。 その他に、本研究では次世代の記録符号としてトレリス符号や二次元符号などについても検討を行ったことを付記しておきたい。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 奨励研究(A)
符号分割多元接続によるisochronous伝送方式に関する基礎研究
奨励研究(A)
1994-1994
符号分割多元接続(CDMA)によるisochronous(等時性)伝送を実現するためには,輻輳時でも一定の伝送帯域を確保する仕組みが必要となる.同時送信局数は電力スペクトル密度との間に線形性が成り立つことから,電力スペクトル密度を監視することにより伝送可能局数を推定し,送信データの緊急度にあわせたプライオリティを導入することにより分散制御する方式を,本年度は,主に理論面から検討した. 1.理論解析 伝送可能局数推定及び2段階のプライオリティを導入した場合のスループット及び遅延特性をコンピュータシミュレーションにより確認したところ、所望の特性を得られる見通しが得られた。 現在検討している伝送帯域を確保する仕組みは、従来から知られている、回線留保方式と呼ばれる解析法の確立された通信モデルに近いことから、今後は解析的に伝送特性を示していく予定である。 2.実験 提案伝送方式のハードウェアによる実証システムの構築を順次進めた。 今年度は、主に伝送路とのインターフェース回路の設計を行った。また、CDMAを行うハードウェア,及び電力スペクトル密度の監視ハードウェアは,複雑であるため,3000ゲート程度のFPGA(Feild Programmable Gate Array)を用いて専用LSIを作成するために必要な、FPGAの設計及び製作用専用のツールを購入し、現在のところ設計環境の整備を順次すすめているところである。 3.その他 上記実証システムで使用予定のスペクトル拡散符号として、Overlapped PN系列を新たに開発し、その伝送性能を示した。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業 奨励研究(A)
符号分割多元接続によるisochronous伝送方式に関する基礎研究
奨励研究(A)
1994-1994
符号分割多元接続(CDMA)によるisochronous(等時性)伝送を実現するためには,輻輳時でも一定の伝送帯域を確保する仕組みが必要となる.同時送信局数は電力スペクトル密度との間に線形性が成り立つことから,電力スペクトル密度を監視することにより伝送可能局数を推定し,送信データの緊急度にあわせたプライオリティを導入することにより分散制御する方式を,本年度は,主に理論面から検討した. 1.理論解析 伝送可能局数推定及び2段階のプライオリティを導入した場合のスループット及び遅延特性をコンピュータシミュレーションにより確認したところ、所望の特性を得られる見通しが得られた。 現在検討している伝送帯域を確保する仕組みは、従来から知られている、回線留保方式と呼ばれる解析法の確立された通信モデルに近いことから、今後は解析的に伝送特性を示していく予定である。 2.実験 提案伝送方式のハードウェアによる実証システムの構築を順次進めた。 今年度は、主に伝送路とのインターフェース回路の設計を行った。また、CDMAを行うハードウェア,及び電力スペクトル密度の監視ハードウェアは,複雑であるため,3000ゲート程度のFPGA(Feild Programmable Gate Array)を用いて専用LSIを作成するために必要な、FPGAの設計及び製作用専用のツールを購入し、現在のところ設計環境の整備を順次すすめているところである。 3.その他 上記実証システムで使用予定のスペクトル拡散符号として、Overlapped PN系列を新たに開発し、その伝送性能を示した。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業
ディジタル〓気記録のための統合的信号処理技術の開発
一般研究(C)
1992-1993
研究目的に沿って、達成できた研究成果は次のように要約できる。 1)ディスク媒体における雑音特性は、規格化線密度Kがディジタル情報列の単位長Tbの2倍辺りまでは低域優位のスペクトルとなるが、3倍程度にまで達すると白色雑音に近付いて行く。同様な特徴はテープ媒体の場合にも見られるが、塗布型とMPやMEテープではかなりの違いが見られることを明らかにした。 2)2値非ブロック符号の代表例であるFM符号を詳細に分析し、MFMなどを含めたファミリー符号が30個存在することを示した。またこれら符号の中に最小ハミング距離が2の符号が8個、FM符号より優れたビット誤り率特性を示す符号が9個見い出された。特にFM・V14と名付けた符号はSN比で約9dBもの改善があることを示した。 3)Schareiderの記録等化方式はFMの裏パターンであるIFMのファミリー符号の中に含まれ、このファミリー符号には通信系(SS通信)でも有用な特徴を持つ符号が存在することを明らかにした。 4)3値ブロック符号に関しては、3B-2T符号と4B-3T符号をPRMLと組み合わせた場合、及び最適データ語割当を行った場合のビット誤り率特性を検討した。その結果、3B-2TとPR(1,0,-1)及びk制約を組み合わせた場合10^<-4>のビット誤り率で所要SN比が約21dBとなることが分った。このようなことから今後多値符号の研究に一段と拍車がかかろう。 4)光〓気記録については、サンプルサーボ方式の有用性を信号処理の観点から明らかにし、4/15符号及び4/11符号について具体的にその組み合わせに対するビット誤り率特性をPRMLを考慮して求めた。特に、差分検出は今後期待のもてる信号検出方式であることを示した。
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日本学術振興会
科学研究費助成事業
ディジタル〓気記録のための統合的信号処理技術の開発
一般研究(C)
1992-1993
研究目的に沿って、達成できた研究成果は次のように要約できる。 1)ディスク媒体における雑音特性は、規格化線密度Kがディジタル情報列の単位長Tbの2倍辺りまでは低域優位のスペクトルとなるが、3倍程度にまで達すると白色雑音に近付いて行く。同様な特徴はテープ媒体の場合にも見られるが、塗布型とMPやMEテープではかなりの違いが見られることを明らかにした。 2)2値非ブロック符号の代表例であるFM符号を詳細に分析し、MFMなどを含めたファミリー符号が30個存在することを示した。またこれら符号の中に最小ハミング距離が2の符号が8個、FM符号より優れたビット誤り率特性を示す符号が9個見い出された。特にFM・V14と名付けた符号はSN比で約9dBもの改善があることを示した。 3)Schareiderの記録等化方式はFMの裏パターンであるIFMのファミリー符号の中に含まれ、このファミリー符号には通信系(SS通信)でも有用な特徴を持つ符号が存在することを明らかにした。 4)3値ブロック符号に関しては、3B-2T符号と4B-3T符号をPRMLと組み合わせた場合、及び最適データ語割当を行った場合のビット誤り率特性を検討した。その結果、3B-2TとPR(1,0,-1)及びk制約を組み合わせた場合10^<-4>のビット誤り率で所要SN比が約21dBとなることが分った。このようなことから今後多値符号の研究に一段と拍車がかかろう。 4)光〓気記録については、サンプルサーボ方式の有用性を信号処理の観点から明らかにし、4/15符号及び4/11符号について具体的にその組み合わせに対するビット誤り率特性をPRMLを考慮して求めた。特に、差分検出は今後期待のもてる信号検出方式であることを示した。
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